大学生と名刺
日本電産会長・永守重信氏の発言がTwitterで少し話題になった。
「経営学部を出てる癖に名刺の出し方も知らない」
と言うような発言に対しての物だった。要は名刺交換の様な社会人の基礎の基礎もちゃんと出来ていないのに、何が経営学部卒だと言いたかったのかもしれないし、私はただの比喩であろうと何となく思った。「名刺交換を大学教授に教えさせるなんて」とか「今の時代名刺交換なんて古い」とかそうしたリプも多かった。礼儀ビジネスと名刺交換は関わり深いから、そりゃツイッタランドで批判されるのは当然である。
ただ、意外に多かったのが「大学生が名刺を持ってる訳無い」と言う物だった。
「みんな就活やインターンで名刺交換しないのかな」
と言うのが私の一番の感想だった。
(ここでは永守氏の発言についての是非は語らない。それは上記ツイートのリプ欄を眺めて色んな意見を見て自分で考えておけば良い)
名刺の要不要論は当然あるだろうが、私は一応持ってて損はないんじゃないかと言う考えを持っている。
実際、私は大学時代に名刺を数十枚配った。学科が映画制作専攻だったから様々な業界人や他大学生、その他ロケハン先の人々に配る必要があった。むしろ教授から「名刺は作っとけ」と言われていたほどだ。まぁ私は言われなくても作っていたが…
日本大学藝術学部など、映画制作を学ぶ大学、専門学校の中でも意識の高い学生の多くは、しっかり名刺を作っていた。私が会えた学生はみんなそうだった。無論理由がある。何しろ映画は1人では作れない。故に繋がり、コネクションは非常に大切なのだ。スタッフ、出演者、エキストラ、ロケ場所貸し出しなど、学生には喉から手が出るほど欲しいものである。
「誰かは自分の映画作りに手を貸してくれるかもしれない」
と、私も淡い期待を一、二年次には抱いていた物だ。相手も大同小異の考えだったに相違無い。だから私が名刺を出すとちゃんと向こうも差し出してくれた。
私が会う他大生と言うのは、「そつせい祭」と呼ばれる卒業制作映画祭の学生部会員(まぁ私もその一員だったが)だとか実習の監督を手掛けた学生等、優秀な人が多い。そう言う人は必ず名刺を持っていた。
私は優秀とは程遠い劣等生だったが、名刺だけはあったのでその人達と交換して色々話も聞けた。
就活時も名刺を企業の人事の人に渡したりした。
私のいた環境は特殊だったが、私個人の感想としては、大学生とは言え名刺の10枚20枚は作っておくべきであろうと思うし、その名刺を使いまくるべきだと思う。Fラン芸大出が何を生意気な、と言われるのは百も承知である。
しかし、大学で自分の専攻する分野や、就職予定の企業なり業界なりに学生の内から出向いてそこの現役の人と名刺交換をするとしないとでは、心持ちからして全く違うものになるはずだ。
恐らくやってる学生は沢山居ると思う。現に私の周りには居た。私自身は4年時に映画の世界への就職を断念したが、大学1年〜3年までで業界人に渡した名刺は沢山ある。
私のような低脳五流大学生に出来たのだから、現役の学生さん達なら必ず出来る。タダでさえ学生は若い。「若さ」と「学生」という身分は使い方次第で最強の武器に成り得る。
個人情報等は大切だから、何とかなるような連絡先だけを載せたやつでも良いので、とにかくコネはあるに越したことはない。
無論、仕事だけではなく、趣味の世界でも使えば良い。例えば同人誌即売会やデザインフェスタなどのイベントでは名刺を配っていないサークルの方が少ないだろう。
先の見えない時代こそ、繋がりは大事である。この人には…という場合や、ここぞという時には、名刺を差し出すのも一つの手ではあると思って頂ければ幸いです。
では。