中嶋雑記帳

同人誌サークル中嶋商事主宰、中嶋條治のブログです。

日本映画界の癌は取り除けるのか?

f:id:nakajima2019:20220406133929j:image

 

こんにちは、中嶋です。

今回は、日本映画界で起きているセクハラやパワハラについて、遂に声明文を上げた映画監督有志の方へ送ったメールについて記させていただきます。

映画監督、プロデューサー、ベテラン俳優…

これらの強い立場の人間が、弱い立場の新人キャストやスタッフに暴行、暴言、更には性的被害を与えた事が立て続けに発覚した事で、是枝氏を始め様々な監督が声明を出しました。

この監督達も業界の悪しき風習を黙認していただろうと思いますが、こうして声を上げてくれる事で、日本映画界の風通しが少しでも良くなれば、才能が集まり、いつかは作品の品質も上がると思います。

映画ファンとして、日本映画界には期待したいと思っています。ぜひ一過性のブームにせず頑張って頂きたい所です。

 

以下、メール本文です。

 

件名 声明に賛同します

映画監督有志の会の皆様。

初めまして。中嶋條治と申します。
現在は写真館に勤務しており、カメラマンとして写真や動画の撮影、編集等を行なっております。

日々のご活動、誠にお疲れ様です。一人の映画ファンとして、貴団体の声明は希望の光に思えてなりません。

この度の声明に賛同し、メールを送らせていただきました。

私は3歳の頃から映画が大好きで、『初代ゴジラ』や『隠し砦の三悪人』、『メリーポピンズ』など素晴らしき映画の世界に、未就学児の頃からどっぷりと浸かっておりました。
中学3年になると、黒澤明の『七人の侍』やキューブリックの『2001年宇宙の旅』に感激し、本格的に映画ファンの道を歩んでいきました。

だからこそ、現在の日本映画界の現状を憂いております。
あまりにも問題が放置され過ぎてきたのではないか? と感じています。

映画監督という立場の人間が過剰な暴力や暴言、ましてや性的暴力を働くと言うのは、その監督の作品のファンであればあるほど悲しいニュースです。(ベテランの俳優やプロデューサーなどもやっているでしょうが)映画監督という、エンドロールの一番最後にクレジットされる立場の人間がそのような行為に及ぶことは、観客を裏切ったのは勿論、エンドロールに載っている全ての人間を裏切っている事になると思います。

映画とは、最高の芸術であると私は勝手に思っております。まさに総合芸術という言葉の通り、様々な部署の人間が共に一つの映画を作り上げており、すべての部署を束ねる映画監督という立場は尊敬に値します。
だからこそ、昨今のハラスメント問題には憤慨しています。芸術家・文化人などと言う肩書き以前に、他者に敬意を払うのは当然のことであります。共に仕事している人間の尊厳を、その立場や権力を以て踏み躙る様なことが許されて良いはずがありません。
むしろそうした人間は、映画の中では悪役として主役に打倒されるべき存在ではなかったかと思えてなりません。私からすれば、『七人の侍』の野武士よりも悪辣であると思います。

 

作品では「平和」「多様性」「弱きを助け強気を挫く」「差別反対」などと言っているくせに、現場でハラスメントが起きていては話になりません。スタッフもキャストも、広い意味で言えば「労働者」だと思います。労働者の権利を守れずに、何が平和か。何が多様性か。
「日本映画はつまらない」と言われていますが、作品の出来不出来以前の問題が落第点では、今後も偶に生まれた名作で「日本映画もたまにはやるじゃん」と思われる程度の世界になっていきます。
ただでさえ、給料の安さや長時間労働が指摘される業界です。
以前、映画制作を専攻していた学生時代、ある技師の方が飲み会の席で
「(日本映画界は)夢を与える仕事なのに、夢が一個も無いんだよ」
と言っていました。今でもその言葉は私の脳裏に張り付いています。

このままでは、「金も名誉も得られない。しかも現場はパワハラ、セクハラで溢れている」と、若手の映画業界離れがますます促進していくことは想像に難くありません。
そうなると、面白くない映画が量産されます。エンドユーザーたる我々映画ファンにとって、業界の衰退は最も辛い事の一つです。
「誰もが安心して働ける」
そうした極々当たり前な仕事環境作りができて、初めて若い層を映画業界に呼び込めるのではないかと思います。この機会に業界に蔓延る様々な悪しき風習を駆逐していければ風通しの良い業界になるのではないかと、素人の私は夢想します。


映画界の方に意見を述べるのは初めてでしたので、思わず様々な不満や意見を思いの儘に書いてしまいました。非礼な乱文、失礼いたしました。平にご容赦ください。

最後に、今回被害に遭った女性は勿論、今まで様々なハラスメントに遭い、結果泣き寝入りせざるを得なかった多くの業界の方々が救われることを切に願います。既に業界を去った方は無理でも、まだ映画界に残っている方であれば、彼ら彼女らのケアをしっかりと行って頂きたく思います。くれぐれも、被害者であるにも関わらず干されるなどと言う事の無いよう、業界全体をしっかり見張っていただきたいと切に願います。

また、今回の声明に関わらず、今後業界の悪しき風習やセクハラ・パワハラモラハラ等の各種ハラスメント、過度な罵詈雑言等への批判を表明した映画人への不当な扱いが無い事を望みます。

今、日本映画界は多くの執刀医の手によって癌の大手術を行おうとしているような気が致します。この大手術を成功に導くには、更に多くの人々の力が必要です。私はあくまでも一映画ファンであり、手術で言う、執刀医の汗を拭く役割にすらなれないと思います。精々SNSで声を上げ拡散したり、こうしたメールを送信する事くらいしかできません。

だからこそ、この声明には心から賛同・応援します。

どうか、私の大好きな映画の世界を守ってください。

 

中嶋條治

 

 

以上です。

果たして手術は成功するのでしょうか?