今年も桜桃忌の季節を迎えました。
最近は梅雨寒で気温も下がり、ぐずついた天気が多かったと思います。しかし今年の桜桃忌は日曜日に当たり、快晴でした。太宰治と、生家津島家の墓がある禅林寺には大勢の参拝者が訪れておりました。
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こんにちは、中嶋でございます。
本日は6月19日。太宰治の誕生日にして、山崎富江と入水自殺した玉川上水から太宰・山崎両名の遺体が上がった日です。
芥川龍之介の命日は河童忌、森鴎外の命日は鴎外忌と呼ばれていますが、太宰治の場合は誕生日でありながら遺体発見日でもあった事から、敢えてこの日を太宰の法要日にしています。
「桜桃忌」の由来は晩年の代表短編『桜桃』から取っています。
私は千葉県民なので、太宰が眠る禅林寺のある三鷹駅まで1時間以上かかります。
そこまでの道中、スマホで動画を見るのも良いのですが、今日はせっかくなので新潮文庫『ヴィヨンの妻』を旅のお供に持参しました。この本には表題作は勿論、絶筆となった『家庭の幸福』、そして『桜桃』が入っています。
改めて読むと、やはり家庭の幸福も桜桃も陰鬱な気分にさせられますが、素晴らしい文章でした。高校時代に「太宰中毒」と自他共に認める太宰文学依存症だった私からすると、あの文体は改めて体に合うんだなと再認識しました。
ちなみに、上記2本を読んだところで『親友交歓』と言う短編を読んだのですが、この本は太宰文学中期の面影が残っていて、ユーモアに溢れた短編小説です。もはやコントと言って良い状況で、改めて太宰の筆力の凄さを感じさせられました。
そんなこんなで、いつの間にか三鷹駅
時間は午前10時40分。禅林寺にまっすぐ行く前に、まずはここに行こうと思いました。
三鷹市美術ギャラリーで太宰治関連の催しがあるのです。
こちらは三鷹駅から中央通りに向かってすぐの駅前商業施設CORAL の5階にあるギャラリーで、以前にも太宰治の関連イベントをやっていました。
中に入ると入り口で太宰治生誕セールが。
ドリップコーヒーを購入しました(^ ^)
ギャラリーでは、かつて三鷹にあった太宰家の執筆部屋の復元施設が出来ていました。『ヴィヨンの妻』の直筆原稿などもあり、最早見慣れてしまった太宰治の筆跡に思わず見入ってしまいました。
芥川龍之介の関連イベントもあるようで、いつか行きたいですね。
ギャラリーを出るといよいよ禅林寺に向かいます。
途中、墓前へのお供えものとして、
まずは日本酒
そして仏花
何より桜桃忌にちなんださくらんぼ
そしてウイスキーと煙草を現地調達しました。
『親友交歓』を読むと、9割フィクションだと思っていてもウイスキーを備えてあげたい気持ちになりますよね(笑)
冥土にいる太宰治先生には、肝臓や肺の心配は不要な事と思います。気にせず好きなだけ酒やタバコを嗜んで頂きたい所です。
三鷹駅からひたすら一本道を歩いて行った先を右折して、ようやく禅林寺に到着します。
季節柄紫陽花が美しく咲き誇っていて、桜桃忌のお参りに来た太宰ファン達の目を楽しませてくれていました。
禅林寺の墓地には太宰治と森鴎外の二大文豪が眠っています。訪れるファンは大勢いる為、墓地の入り口にこうした看板があります。
歩いて行くと、午前11時半と早めであるにも関わらず、既に沢山のお供え物が!
そして若い女性が凄く多い。
20代、もしかしたら10代もいたのでは無いでしょうか。
やはり『文豪ストレイドッグス』の影響で太宰治を知ってくれた人もいたのかもしれません。
ウマ娘にしろ、その世界に触れる取っ掛かりになるアニメやゲームが出来ると若い血が入ってくれるので界隈が盛り上がりますね。
私もお供えをさせていただきました。
その後は、毎回の事ながら太宰治文学サロンへ。
内装がリニューアルされていたのでビックリしました。
こちらは太宰が心中した玉川上水。
今の玉川上水は水の量が少なく、溺死したくても出来そうにありません。しかも木々が鬱蒼と生い茂り、草も胸ぐらいの高さまであります。間違いなく、ここで入水自殺をしようなんて思う輩は金輪際出てこないと思います。
そうして三鷹の太宰治ゆかりの地を見て行き、14時くらいにもう一度禅林寺に行きました。
たった2時間程度で更にお供え物が増えていました。
更に、斜向かいにある森鴎外先生のお墓にも沢山のお供えが。
桜桃忌のお参りに来た人が、言い方は悪いですがついでに鴎外先生のお墓参りもしているのです。
「何だ、私は太宰のついでか」と、草葉の陰でムスッと思っているのでは、などと下賎な想像をしてしまいます。むしろ太宰の方が気が気でなかったかもしれないですね。
ちなみに鴎外先生の命日である鴎外忌は7月9日です。
その時にも、「ついでに」太宰治のお墓にお供えがなされているのかもしれませんね。
この桜桃忌で、私は勝手に師匠と仰ぐ太宰治先生にある報告をしようと思っていました。
私は高校時代に文芸同好会に所属していて、小説もどきやエッセイ執筆の真似事をしていました。その頃太宰治にハマったのですが、一時期は文体が太宰色に染まるほど影響を受けました。
今月、私はプリントオンデマンド出版という形ではありますが、商業本を出す事になりました。
Amazon、または書店の注文で購入して頂けるようになります。
作品内容自体に太宰色はありませんが、太宰治を好きで、「自分も遙か及ばずながら文章を書いていきたい」と思ったからこそ出版まで漕ぎ着けたのだと思います。
なので本日は、太宰治先生に本の出版をご報告すると言う目的もありました。
本の出来は全く未熟です。
だからこそ、今後も精進して行く決意を固めて三鷹を後にしました。
終わり
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